Facebookのフランス三色旗(トリコロール)アイコン表示について思ったこと

2015年11月13日にパリで発生した連続テロ事件は私や周りにいた人にとっても「大きなニュース」だった。

この事件で印象的だったのは、Facebookでサイレントマジョリティだと思われる層で、Facebookの追悼アイコン機能を使ってアイコンをフランス国旗の三色旗(トリコロール)に変えた人が数人いたことだった。

私のFacebookのタイムラインは、会社員、公務員と子育てしている人などのサイレントマジョリティ系の人と、フリーやメディア関係の発信力が強い層で二分されている。お「友達」の数としては、前者:後者=9:1だが、タイムラインでの表示率は0.5:9.5ぐらいになっている。

このサイレントマジョリティの人たちは、旅行や子供、ペットの写真を時々上げていて、逆に私がそういう話題をタイムラインに上げたときに「いいね」を時々押してくれるような人たちだ。

サイレントマジョリティはいわゆる安保法制の議論の時も、何かしら意見表明を投稿することは全くなかった。一方、フリー・メディア系の人たちの投稿はその時も活発だった。ちなみに私はタイムラインではフリー・メディア系の「控え目」な部類に入る方だと思う。

そういうサイレントマジョリティ層の何人かが三色旗のアイコンをちらほらつけたのを見て、「三色旗のブランドイメージはすごいんだな」と感心していたら、ほどなくフリー・メディア系の何人かが、「シリア・中東・他国の人たちが同じテロで数多く亡くなっていたときは無関心で、パリの時だけ三色旗で追悼することへの違和感」という主旨の複数の記事や発言をシェアしはじめた。

このパリ事件の直前にはロシアの民間機がテロと推測される爆発で墜落し、200人以上が亡くなっているし、それ以前のシリアとイラクの惨状は言うべきもない。

そうすると、サイレントマジョリティの人たちが三色旗のアイコンをほぼ全員撤回した。実は三色旗にした人の数としてはフリー・メディア系の人たちが多く、そこの層の方たちは三色旗のアイコンをつけたままで平然と三色旗への違和感を表明した人の記事にコメントしているし、ある人は逆ギレの記事をシェアしていたりした。

パリの事件よりも死者が多くかつ悲惨な状況で亡くなられた方がいる事件が多いのは全くの事実であり、イスラム国が拠点にしているシリアはフランスの旧統治国である。この時だけ三色旗を掲げるのは潜在的な差別意識や無知の表明であるという指摘も正論だと思う。

ただ、今回の件で、特に三色旗をアイコンにした人が学んだことが共通してあるように思える。

何かを価値を表明することは、その価値を受けいられない人の反発を招き、傷つけることでもある

ということだ。

三色旗はNATO加盟国のフランスの国旗であるが、日本人に馴染みに深いフランス文化を象徴するアイコンとして頻繁に使われていることはデパートに行けばすぐわかるし、「自由・平等・博愛」というフランス革命時代からの人権意識のシンボルとして連想する人もいるだろうし、パリに旅行した人もたくさんいるだろう。三色旗は日本人にとってフランス国旗というより「西洋文化」の象徴として受け入れられていると思う。

※本題から少しそれるが、東京都台東区は国立西洋美術館の世界遺産化推進運動を熱心に展開しており、三色旗(トリコロール)を使っている。上野公園やJR上野駅でよくみかける。臆面もなくというよりかは、日本人がいかに三色旗に対して抵抗がないかがよくわかる。

http://www.city.taito.lg.jp/sekaiisan/topics.html

三色旗を掲げた人には、純粋に犠牲者への追悼を表明した人もいるだろうし、「自由・平等・博愛」の精神を普遍的なものとして世界平和の気持ちを仮託した人もいるかもしれない。事件現場近くに滞在した経験がある人、フランス人の知人とつながりがある人もいるかもしれず、それぞれ何かを思ってアイコンを変えたつもりが、それが中東や他国の人への差別つながるという指摘を受けたことに、驚きを感じた人もいるだろう。

私が懸念するのは、特にサイレントマジョリティの層が今回のことに学んで、今まで以上にSNS上に何かの価値や意見を表示するのに慎重になるだろうということだ。サイレントマジョリティが共感しないとムーブメントはできない。三色旗の件で、シリア・イラクや中東・北部アフリカの惨状を知る機会ができたと考えてくれる人が多いことを願っている。

※以下に国連難民高等弁務官事務所の単発寄付画面のリンクを貼っている。私は特に同機関と関係はないが、この機会に難民支援を専門的に行っている公的団体のリンクを貼ってみた。ちなみに同会は電話での案内(営業)に熱心で、それをご遠慮していただくためのオプトアウトも積極的にやっていただくとありがたい。

https://www.japanforunhcr.org/form/all/donate/single/#tabWrap

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